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通巻293号 小さな街の小さなクラブはなぜ成功したのか?
元浦和レッズ監督、フォルカー・フィンケ氏の講演より

(C)Tete_Utsunomiya

■目次

  • ●身近なサッカーと「世界とのつながり」
     EURO2016取材から戻って考えること
  • ●小さな街の小さなクラブはなぜ成功したのか?
     元浦和レッズ監督、フォルカー・フィンケ氏の講演より
  • ●ユーロ2016と変化するヨーロッパ
     千田善のフットボールクリップ(最終回)
  • ●カウントダウン!『徹マガ』&『WM』読者感謝祭
     WM編集準備室(編集部・森衿子)

小さな街の小さなクラブはなぜ成功したのか?
元浦和レッズ監督、フォルカー・フィンケ氏の講演より

 かねてより予告していたとおり、今回は元浦和レッズ監督、フォルカー・フィンケ氏の講演の模様をお届けする。講演は『ドイツ・ブンデスリーガから学ぶ組織マネジメント』というタイトルで、5月12日に高知県の土佐経済同友会主催で開催された。

 フィンケ氏を高知に招いたのは、高知大の地域連携推進センター特任助教で同大サッカー部監督でもある川田尚弘さん(写真左)。川田さんはUEFAのライセンス取得の際、フィンケ氏から直接指導を受けた経験を持ち、「高知県のスポーツ環境を改善するためのきっかけとなれば」という思いからかつての恩師にオファーをしたところ、ふたつ返事で快諾してもらったという。

 地元の経済人を対象とした今回の講演。フィンケ氏といえば、典型的な地方の2部クラブだったフライブルクをトップリーグに押し上げ、強豪バイエルン・ミュンヘンを打ち破るなどセンセーションを巻き起こした一方で、クラブのマネジメントに関しても多大な影響力を与えたことでも知られている。それだけに参加者の多くは熱心に耳を傾け、しきりにメモをとる姿が見られた。今回の掲載は、当日のフィンケ氏の通訳も務めた川田さんのご好意により実現した。川田さんにはこの場を借りて御礼申し上げたい。

 なお本稿を読むと、かつて指揮を執った浦和に関する言及が非常に少ないことに気づくはずだ。実際には、浦和時代のエピソードについても語っているのだが、フィンケ氏の考えを尊重してその部分の掲載は見合わせることにした。もちろん、決してネガティブな発言をしていたわけではなく、あくまで浦和の現体制に対する配慮ととらえるべきだろう。なおフィンケ氏は、原口元気、山田直輝、高橋峻希といった当時の若手選手のことを、今でもとても気にかけていたことを申し添えておく。(収録:2016年5月12日@高知市)


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■監督のオファーよりも高知に来ることを選んだ

 こんにちは。このたび、高知に来ることができて非常にうれしく思っております。そして今回、こうして経営者のみなさまの前でお話をできることを非常に光栄に思います。フッスバル(サッカー)は非常にエモーショナルで、われわれにさまざまなものをもたらしてくれるスポーツです。まずはこの映像からご覧ください。

<映像(1)フィンケ氏の紹介ビデオ>

 今はフリーの状態ですが、S級の指導者ライセンスの講座では特別講師として呼んでいただいています。ちょうどシーズンが終わったばかりですが、あるブンデスリーガのクラブからも(監督の)オファーをいただきました。ありがたいお話でしたが、現状に関しては今すぐに監督をする意思はないためお断りしました。それよりも今回、こうして高知にお招きいただくことに魅力を感じまして、スポーツを通じた地域貢献というものを情熱的に取り組まれている高知大学の取り組みに、何かお力になれないかと考えた次第です。高知はどちらかというと、野球や相撲が盛んだと聞いておりますが、サッカーについてもこの地で盛り上げていければと思います。

 ご存じのとおりサッカーは、世界的に見て大人も子供も情熱をもって楽しまれているスポーツです。しかし興味深いことに、日本ではまだそういった文化が決して根付いていないようです。サッカーは非常に魅力的なスポーツであり、観客はスタジアムで喜び合ったり涙を流したりすることができる、とてもエモーショナルで人間味あふれるスポーツです。それを理解できる映像を次にご覧いただきましょう。

<映像(2)ワールドカップでのサポーターの盛り上がり>

 こうした映像を、たとえばアフリカやメキシコなどでお見せすると、皆さん立ち上がって歓声を挙げたり踊りだしたりします。でもそうした反応は国によって、あるいは街によって異なることも私は知っています。たとえば私が監督を務めた浦和レッズのホームタウンは、サッカーの試合では非常に熱狂的でありました。ただしスタジアムに入場する時も、試合が終わってスタジアムから去る時も、とても日本人らしく規律を重んじる態度を示していたことについては、非常にリスペクトすべきことだと思いました。何かしら衝突があった時でも、みんなでクレバーに解決しようとする。そうした姿勢についても、とても日本人らしい振る舞いだと思いました。

 実は浦和の監督時代、こんなことがありました。私はいつも試合後、スタメンの選手には疲労を取り去るためのクールダウンを15分から20分くらいさせます。試合に出ていない選手についても、試合に出た選手と同じくらいの負荷をかける練習を行います。ドイツではそれが当たり前だったのですが、残念ながら日本ではそうしたことがなかなか認められませんでした。「どうしてですか?」と何度もいろんな人に聞いても「それがルールだから」としか答えてもらえませんでした。

 試合を運営される方からすると、試合後にクールダウンに時間をかけることは、それだけお客さんが帰る時間が遅くなってしまうので、それは避けたいという想いはあったようです。もちろん私は、ルールや規律といったものをリスペクトしますよ。でも私としては、単に次の試合でさらに良いパフォーマンスを選手が発揮してくれるように努力したかっただけなんです。今、お話したことは、本当に小さな例です。こちらが常識だと思っていたことが、よその国ではそうではないということは、スポーツの世界でもよくある話だと思っています(笑)。

 本日、ご来場いただいている皆さんは、経営者であったりマネジメントをされている方だったりだと思います。サッカーとの共通点ということでいえば、お金がない小さなクラブが、どのようにして成功への道を歩んでいったのか、というお話になるかと思います。私自身は、日本の文化や工業製品といったものは、非常に素晴らしいものであると日ごろから感じております。そして日本が成し遂げた経済成長に関しても同様です。だからこそ、私のほうからは皆さんのビジネスに活かすことができそうな、サッカーやスポーツのお話を皆さんに披露したいと思っています。

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